豊橋駅前を拠点に、豊橋市内から浜松市東側(旧南区エリア)にかけて計5店舗の調剤薬局を展開する有限会社ドラッグストアー・カミヤ(神谷薬局)さん。
今回、商工会でのつながりでご縁がありまして取材させていただきました。
本社(本店)である、豊橋駅と札木電停からすぐそこの神谷薬局さんにお邪魔させていただき、直接お話を伺いましたのでレポートします。

代表取締役社長の斎藤肇(はじめ)さんです。
地域密着の老舗が挑む、令和の「介護離職」ゼロ宣言。神谷薬局・齋藤社長へインタビュー!
名古屋のご出身でありながら
ご縁があり豊橋の地で永く続く
この会社の社長になられた齋藤社長。
会社法の改正により、今はもう設立できない「有限会社」という形態を今も大切に守り続けている経営スタイルは、地域社会と共に歩んできた長い経営実績と揺るぎない信頼の証なのではないかと思います。
しかし、
齋藤社長の視線は、単なる薬の提供(調剤事業)に留まりません。
昨今、齋藤社長が強い危機感を持って取り組もうとしているのが、日本の産業構造を根底から揺るがしかねない「ビジネスケアラー問題」です。
地域密着型の老舗だからこそ見える
「働き盛りの世代」が抱える深刻な悩み。
それは…
「親の介護と仕事の板挟みになり、企業の要である人材が次々と現場を離れざるを得ない」
という誰もに訪れる可能性がある過酷な現実です。
「10兆円の損失」から企業を守る。2025年4月から始まった、”介護研修義務化”への切り札
働き盛りの40代〜50代が直面する「仕事と介護の両立」。
特に製造業や建設業が盛んな豊橋エリアでは、現場の要となる中間管理職や熟練工が介護を理由に戦線を離脱することはどういうことを意味するか?
企業にとって計り知れないダメージとなります。
「ビジネスケアラー」が引き起こす中小企業のボトルネック
経済産業省の試算によると、仕事をしながら家族の介護に従事する「ビジネスケアラー」による経済損失は、2030年には年間9兆円(順当に伸びていけば約10兆円)にものぼると予測されています。
人的資源の枯渇: 中小企業では「一人の代わり」を探すことが難しく、特定のキーマンが休職・退職することで、業務全体が止まってしまうボトルネック化が起こります。
また、隠れ介護のリスクも潜在的に潜んでいると、齋藤社長は語ります。
周囲に知られまいと無理を重ね、ある日突然、燃え尽き症候群(バーンアウト)や離職に至るケースも少なくありません。
こうした氷山の一角の根っこに前もって気づき
企業の人手不足の損耗を補おうとする動きが水面下で行われています。
2025年4月の法改正で介護離職予防研修が企業に義務化!
2025年4月から、企業に「介護離職防止のための個別の周知・意向確認」や「40歳等への早期の情報提供」が義務化されました。
なぜ義務化されるのか?
と気になりますよね。
これは、
「会社で働く人が、おじいちゃんやおばあちゃんの お世話を理由に仕事を辞めなくてもいいように、勉強しましょう」というルールが新しく決まったのがこの介護研修制度の義務化。
ご存知の方も多いかもしれませんが
日本は今、世界でも有数の「超高齢社会」。
(日本は2位)
今は中学生ぐらいの子たちが社会人になる頃には、さらに高齢者の介護問題がそこかしこで増えていくことでしょう。
そこで問題になっているのが、働き盛りの人が親の介護のために仕事を辞めてしまう「介護離職(かいごりしょく)」。
年間約10万人が、本当は働きたいのに介護のためにキャリアを諦めている状況です。
会社にとって、ベテラン社員に辞められるのは大ダメージ。
時間も、経済も辛い状況になることは目に見えています。
国にとっても、働く人が減るのは困る。だから、「みんなで介護の知識を持って、仕事を辞めずに済む社会を作ろう!」と法律(育児・介護休業法)が変わったのが始まりです。
介護研修の中身は?
とはいっても、介護研修の中身は「おむつ交換」ではなく「制度」を教える点がポイントになります。
たとえば…
→「介護休業(最大93日休める)」や「介護休暇(1日単位で休める)」、さらに国からお金が出る「介護休業給付金」などの公的な支援の受け方
→「自分で全部やろうとせず、ケアマネジャー(介護のプロ)にどうやって相談するか?」という窓口の探し方
→会社や上司が「介護で大変な部下」をどうサポートするか(ハラスメントにならない対応など)
神谷薬局では、この法改正をチャンスと捉え、地域の社労士さんと強力なタッグを組んだ支援を展開します。
これだけではありません。
神谷薬局が提供する「ワンストップ支援」の全容
加えて、ドラッグストアーカミヤさんでは
単なる薬の提供に留まらず、企業の労務環境そのものをアップデートする仕組みを構築しています。
義務化される研修において、「健康指導」を軸にした実践的なプログラムを提供予定
たとえば…
住居・空き家問題の解決: 介護に伴う住み替えや実家の管理など、各専門事業者と連携して負担を軽減します。
処方箋の宅配とオンライン化: 薬を取りに行く時間さえ惜しい介護家族のために、オンライン服薬指導と宅配を活用。
リモートワーク導入の仕組みづくり: 介護をしながらでも現場を回せるよう、柔軟な働き方の導入を労務面からサポートします。
「安心して介護に専念しながら、現場を回し続ける体制」を作ること。それが、神谷薬局が目指す新しい地域のインフラです。
今後も地域社労士さんと共同しながら、介護研修をキッカケに立体的な地域課題の解決に取り組んで行かれるとのこと!
素晴らしい施策だと感じました。
「FAXで届くDX案内」からの脱却。医療従事者の価値を再定義するリスキリング支援
そして、齋藤社長は
もう1つの新たな試みを持たれています。
既存の調剤事業と並行して情熱を注いでいるのが、「医療従事者のためのリスキリング(学び直し)支援事業」。
ここには、医療現場の最前線を知る社長ならではの、業界への鋭い問題意識が込められています。
医療業界のDX化を阻む「アナログな壁」
医療業界は、他業種に比べてデジタル化(DX)が遅れていると言わざるを得ない現状があります。
私が取材の中で印象的だったのが、「DX推進の勉強会の案内がいまだにFAXで届く」というエピソードでした。
デジタル化を謳いながら、手段がアナログのままという根本的な矛盾を、齋藤社長は新しい風を取り入れることで改善したいという狙いがあるそうです。
「とりあえずスキル」ではない、専門性を掛け合わせた「複業型医療従事者」の育成を目指す
キャリアアップを目指す医療従事者は多いものの、どうしても日常業務の中で、質の高いビジネス情報に触れる機会は限られています。
たとえば、副業は今流行っていますが、
齋藤社長は「複業」を推奨されているとのこと。
たとえば医療とは関連のない「動画編集」や「LP制作」といったものは世の中に数多く存在します。
手軽に学ぶことができるいっぽうで、せっかくの専門性と切り離されたスキル習得は、キャリアをフルに活かすことができないという課題があります。
1つの職業だけを一生やり続ける。
そうした価値観が当たり前ではなくなった現代において、「医療の専門知識 × ビジネススキル」という独自の掛け合わせ、いわば「複業型医療従事者」を推奨されています。
例えば、「週2日は看護師として現場に立ち、週5日はヘルスケアスタートアップに参画する」といったモデルを提案。
現場感覚を持ったままマーケティングや運営に携わることで、人材の価値を最大化する構想を持たれていらっしゃいます。
薬剤師のスキルをマーケティングへ解放することの重要性
特に薬剤師さんは、高度な薬学的知識に加え、日々多くの患者さんと接するコミュニケーション能力を備えていると思います。
その実力を活かし、
・ドラッグストアでのOTC販売応援
・医療メディアや転職サイトでの薬機法知識を活かした専門知識での執筆
・薬学生向けの模試添削や質問対応
など、様々なことができると思います。
医療従事者のヘルスケア系スタートアップ(Age-tech)への挑戦
ドラッグストアーカミヤの齋藤社長が注目されているのが、エイジテック(Age-tech)と呼ばれる分野。
高齢者の健康や生活の問題を根本的に改善するテクノロジーのことを意味します。
たとえば、「病院に行かなくても診察を受けられるオンライン受診」だったり「スマホアプリひとつで処方箋をお家まで配達してくれるサービス」など。
齋藤社長は、専門知識を持つ医療従事者をヘルスケア系のスタートアップ企業へ紹介することで、
・企業側は「現場のニーズ」を即座に反映できるサービス開発に着手することができ
・ 医療従事者は複業を通じてマーケティング力や経営視点を養うことができる
といったWin-Winの仕組みを実現しようとされています。
自ら得た経験を再び、地域の医療現場へ還元する。
この循環こそが、豊橋エリアの医療をアップデートする鍵となるのではないのでしょうか。
「医療従事者のポテンシャルはもっと高い。その力を適切な場所に配置すれば、社会はもっと良くなる」。
齋藤社長の言葉からは、働く人の可能性を信じる強い決意が伝わってきました。

まとめ:豊橋から、医療と介護の「当たり前」を塗り替える
今回の齋藤社長への取材を通じて見えてきたのは、神谷薬局が単なる「地域の薬局」という枠組みを超え、日本の社会構造が抱える歪みに正面から立ち向かう「変革の拠点」になろうとしている姿でした。
齋藤社長が仕掛ける
「ビジネスケアラー支援」
「医療従事者のリスキリング」
は、一見異なる事業のように見えますが、その根底にある思想は共通しています。それは、「デジタルと専門知識を正しく掛け合わせ、人のポテンシャルを解放する」ということです。
中間管理職の介護離職を防ぐことは、豊橋・浜松が誇るものづくり産業、ひいては地域の経済基盤を守ることに直結します。神谷薬局が提供するパッケージは、多くの経営者にとって「潜在的に眠る暗闇を照らす灯火」となるはずです。
「FAXが届くDX案内」を笑い飛ばし、新しい風を送り込む。医療従事者がマーケティングを学び、スタートアップで活躍する。そんな「新しい働き方」がこの街から広がることで、医療業界全体のDX化は、現場の体温を失わない形で加速していくでしょう。
有限会社ドラッグストアー・カミヤが紡いできた「歴史」という信頼の上に、デジタルという「翼」を授ける。 豊橋・浜松エリアの医療と介護の未来は、ここから劇的にアップデートされようとしています。
店舗情報
※公式サイトより引用
1. 神谷薬局 本店(札木)
所在地
〒440-0888 愛知県豊橋市駅前大通3-91
アクセス
豊橋駅より徒歩7分
市電「札木電停」より徒歩3分
2. 神谷調剤薬局
所在地
〒440-0888 愛知県豊橋市駅前大通3-118先
アクセス
豊橋駅より徒歩7分
3. 神谷薬局 西幸店
所在地
〒441-8113 愛知県豊橋市西幸町字浜池24-8
アクセス
豊橋鉄道渥美線『南栄駅』より車で10分
4. すこやか調剤薬局(田原駅近く)
所在地
〒441-3416 愛知県田原市東赤石4-8
アクセス
三河田原駅から徒歩5分


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